漢字初の解釈:剣
「剣」は、『説文解字』に、剣は、人の帯る所の兵(はもの)なり。人が腰に付け、真っ直ぐで先が尖る両刃の兵器を指している。字形としては、旧字は「劒」であり、「刃」は意符であり、剣先に有る刃である。「僉」は音符であり、後に多く「劍」と書いた。「鋳剣」とは、例えば『春秋左氏伝』の「莒子・庚輿(共公)は虐にして剣を好み、苟しくも剣を鋳れば、必ず諸(これ)を人に試みて、国人は之れを患う」とあるように、利剣を鋳造することである。また陰謀奸計を画策するたとえを鋳込まれた口密腹剣(口に蜜あり腹に剣あり)の語は、『開元天宝遺事』の「李公(林甫)面に笑容有りと雖も、而(しこう)して肚中に剣を鋳るなり。」にある。興味深いのは、また「剣を鋳て犁(すき)と為す」という熟語があり、武器を鋳つぶして農具を作り、殺伐を放棄し平和を重んじるという意味である。そこで『説文解字』で言う「銷金」とは本来剣を鋳るとは犁を作り為の鋳造であり、少なくとも作業の「残欠」ではなく、かえって賈誼の「過秦論』に「天下の兵を収めて、之を咸陽に聚め、鋒鏑を銷(とか)し、鋳(いこ)んでもって金人十二を為(つく)る(武器を鋳つぶして銅像を作った)」の気迫がある。此処で剣を鋳る、鋳剣とは、兵器を作り投入することと、兵器を廃棄し戦争を終結することの区別がある。守備には油断大敵なので、鋳剣する必要があり、「其の攻めざるを頼むこと無く、吾れの以て待つ有ることを頼むなり。(孫子)」〜運良く敵が侵略に来ないことを当てにせず、自分の軍議を頼る。しかも鋳剣は忘れてはならず『孔子家語』には、剣戟を鋳て以て農器を為(つく)り、牛馬を原薮に放ち、室家を曠(あらの)に離るるの思い無からしめ、千歳に戦闘の患無からしめ、ひとつならず二つの希望を描写している。『旧約聖書・イザヤ書』にもThey shall beat their swords into plowshares (=国連本部の壁面のモニュメント)〜刀剣を農具の刃先にするとある。世界は大きいが、人心は様々で、安心かに暮らし楽しく働くことほど平凡な堅実な生活はない。
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