誰もが知っている山東省煙台リンゴは「姿が美しく、色つやがあり、果肉は甘くサクサクとして、香り豊か」で国内外に名が通りっていて、実際煙台には古来からリンゴがあった。明代以前には「奈」と言い、明代以後は「苹果」と称したが、味は全くひどいもので、根本的に経済価値がなかった。現在我々が食べている山東リンゴは最初ある宣教師ネビウス(John Livingstone Nevis)により導入されたものである。

1829年、ネビウスはアメリカニューヨーク州西部の「フィンガーレイクス」ロディ村とオーベルト村の間の農場で生まれた。

元農場は牧歌(ぼっか)的な農村で、周囲は田屋と草原で、付近にはーすじの綺麗な泉水があり、「樹上に燦々と輝く」セネカ湖は、僅か2マイルの距離にある。ネビウスはオランダ系アメリカ人ベンジャミン・ネイビスと妻メリーデントンの子である。ネビウスはオーベルトの学校を学び、その後シャネクダディのユーナイテッド学院で教育を受け，1850年から、彼はプリンストン長当会の準牧師を勤めた。

1853年、ネビウスはヘレンと結婚し、同年6月15日、夫妻揃って宣教師の身分で中国寧波へ向かい6ヶ月の航海に踏み入り、1854年の春に寧波へ着いた。

彼と彼の妻はすぐさま語学を学び始めて、後に、彼は語学の教師涂先生の影響で中国の伝統民間信仰の中の霊異現象に強い関心を懐いた。

1861年夫妻は揃って山東省登州に移転し、始め北門の観音廟の中に起居した。1862年のコレラ渦に、彼らは当地の人間に薬品を配布した。ネビウスはまた宣教師を育成して、1870年に上海で挙行された全国第一回教会会議の建立を援助した。ネビウスは元は日本で作業していた。北京条約の締結により登州布教に配置換えされた。ネビウスとヘレンの夫妻は数名の父母を亡くし捨てられた女子を引き取って育て、家庭教師で彼女らに習字(しゅうじ)と読書を教えた。これは女子学校の先駆で、同治元年、1862年のことである。二年後ネビウス牧師夫妻は募金と夫人の病気治癒(ちゆ)のためにアメリカへ帰国した。

1867年、夫妻は中国に戻った。1871年、彼らは芝罘に引越して、そこに「南楼」という家を建てた。1873年、ネビウスは600マイルに及ぶ徒歩布教の旅を開始し、彼は途上のどこでも休憩と食物を探すことができた。

1877年、山東省で大飢饉(華北大飢饉)が発生し、彼は資金を調達し、糧食配給センターの設置、被災者救済団を組織するなどの方面に重要な作用を発揮した。1899年大飢饉が再来して、彼の能力は再び発揮された。

(ネビウスが布教の)芝罘を基地として作業していた時、作業の目標は膠東各県であった。彼は山間の土地が痩せこけていて、農民は困難し、生活と収入の改善がなければ福音広く伝える効果に不足していることを見かけた。

彼はまた、当所の気候がニューヨーク州の彼の故郷に大変似ていることを考えて、田舎へ行き大量に自ら選んだ生産の最も盛んなリンゴ、ナシ、ブドウの苗(なえ)などを煙台へ持ってきた。ネビウスは元農家の出身で、各種の果樹の虫害(ちゅうがい)と植樹法にはもとより経験があった。煙台に戻った後彼は毓璜頂山の東南斜面に12畝半の模範農場を建設して、育てた苗木を付近各地の農民に贈った。これが最初の中国リンゴ苗木の栽培の歴史で、山東省煙台地区はリンゴ系統の栽培に大変適しているので、中国は改革開放後に紅富士、喬納金などの品種を導入した。2014年7月、中国最初の『リンゴ』特殊切手を煙台で初めて発売し、煙台リンゴは「国家銘柄」となった。また2019年11月には、2019年の農産物区域公用品種に選ばれた。

そしてこの宣教師は栽培業の発展の援助と同時に布教活動もなおざりにはせずに、1887年に切り上げたが、もう数千里も歩いて、彼はいつも困難な地形や、天気の下での布教を進行した。1893年10月に彼は家で突然亡くなり、享年64歳であった。芝罘の西洋人墓地に葬られた。しかし彼の育てたリンゴの苗木は中国で根を下ろして、中国人民にこの遠洋から来た宣教師と農学家の記憶を残した。