漢字初の解釈: 淋・鈴
「淋」は、「説文」に、淋は、水を以って沃(そそ)ぐなり。
これは水を撒くという意味である。字形では水「氵」が意符であり、水流、水滴を指す。「林」は音符であり、或いは表意にも関わり、水滴が林のように緊密な事を形容している。雨に濡れる、水浸しになる意味に発展している。
「鈴」 、 、 は、「説文」に、鈴は丁に令(いいつけ)るなり。 、 、 、 、 、
つまり呼び鈴であり「柄と舌(ゼツ)があり、鐘に似て小さい」。字形は、金「釒」と「令」の会意文字であり、「金」は鈴が金属製の打楽器であることを表し、「令」はまた音符でもある。
淋鈴は雨音の形容でもある。また雨淋鈴、雨霖鈴という曲名でもある。本来唐代の楽部の曲名である。唐の玄宗が安禄山の乱を避けて蜀地に逃亡して、始めて斜谷道へ入った時に、10日も続く長雨の桟道(崖上の板道)で「林中の雨垂れと檐(のき)下の金鈴」が「丁当連連と止まない音声」を聞き、馬嵬坡に分かれた楊貴妃を悼みながら、その音声を拾って、雨霖鈴曲を作って遺恨を寄せた。つまり『長恨歌』中の「行宮に月を見れば 心傷む色、夜雨に鈴を聞けば腸を斷つの声。」であり、また杜牧の『華凊宮』の「行雲下らず朝元閣、一曲の淋鈴 涙数行。」である。後にまた詞調は変化して、最も有名なものは、「驟雨 初めて歇(や)む」だけでなく「多情古えより離別に傷つく」と書いて、諸々の情が言いようのない悲しい思いとなっている。
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