漢字初の解釈➖豸「チ」
「豸(チ)」は象形文字である。
甲骨文の 、 「豸」は特殊な構造で、大口を開け、頭、尾、足、身体がある野獣の形である。「豸」に対する解釈は様々な説がある。
獬豸(カイチ)は古代伝説の中の一種の神獣であり、大きさは牛ぐらい、小さいものは羊ぐらい、麒麟の仲間で、両目は炯々 として力強く、人語を理解し、人間性を知り、善悪を区別し、正不正を明らかにし、善悪忠奸区別したので、公正の象徴となったと考えられている。そこで古代の法務執行官の帽子を「獬豸冠」と言った。
岑参の『韋侍御先の京に帰るを送る』詩に、「龍闕に朝(むか)わんとするを聞き、まさに須らく豸冠を払わんとす。」
『説文解字』に「豸は、獣の長脊にして、行くこと豸豸然として、司殺する所有らんと欲するから形なり。」と解釈している。『爾雅・釈蟲』に、足有る之を蟲と謂う、足無き之を豸」と謂う。『新華大字典』、「豸は、古文字中の豸は長脊の猛獣を象り、豸豸猛獣突然して躯幹を伸直し、獲物を捕咬する様子を形容する。豸は脚の沒(な)い虫を指す。」。
金文の「豸」は頭上の「特別に明瞭で力強い眼」を強調している。小篆 は甲骨文の字形の基礎を継承して上部の「大口をあんぐり開ける」の記号を「月」に変えている。隷書は「薦」に作る(漢の隷弁」。楷書は「豸」に作る。
「豸」の本義は神獣を指している。野生の動物の意味に拡張されると、古文では、「豸」は大型の猛獣を指し、また足の無い虫蛇も指す。
「豸」は神獣であり、公正の象徴であり、発展して解決の意味も指す。『左伝』に、余は将に老んとし、使卻子をして其の志を逞(たくま)しくし、庶(おおい)に豸(しるし)有らんや。
「豸」の偏旁とする文字には、豹、豺(サイ、山犬)、貇(コン、かじる)、豻(カン、エビスイヌ)、貂(テン)、貌(バク、かたち)、貔貅(ヒキュウ)、貓(猫)、貃(貊、バク、異民族の名)、貑(カ、おおくま)、獬豸(カイチ、神獣)などがある。
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