漢字初の解釈:終
「終」は、象形の会意文字と形声文字を兼ねていて、色々な書き方がある文字である。
甲骨文の「冬」の字形は「終」の初文であることは、多くの人が認める所であるが、其の構造の解釈には論議がある。
甲骨文は一束の糸のようで、二つのこむつ結びがあり、意味は糸縒りの最後に結んだことを表していると考えられる。
あるいは「冬」字は「終」の本字と考えられていて、「冬」は四季の終わりであり、下面の二点「冫」は「冰(氷)」を表し、上部の線は冬の低い陽の光が部屋の奥まで差し込むことを表しているので、この字は一年の氷のある冬季を、また一年の収束の季節を表している。
甲骨文の「終」 、 字の構造は妊婦が分娩(ぶんべん)を終えたことに由来すると考えられている。字形の中の線はへその緒 であり、両端の大きな記号 、 は胎児と胎盤を分けて表し、胎児と胎盤を排出して出産が終了するので、「終」に収束の意味がある。
商代の「終」字は両端が肥大した取っ手のような形である。周代中期晩期の字形 、 は基本的に甲骨文の形を継続している。
籀文「終」は 、 を書き、小篆 は甲骨文の下部に古文の「仌(氷)」を加えて、左側に「糸」 を増加して偏として、糸紡ぎ(つむぎ)をした後に末端を結んだことを表し、 「終結」「結束」の意味がある。このように「冬」は本来の結束の意義は寒冷な冬季の「冬」の意味に変化し、「終」 は冬の終結の意味を継承しており、この二文字「終」 「冬」 には明確な区分ができた。隷書化は と書いた。
「終」の本義は「始」と相対する、終了、終結となった。
「終」は生命の集結、つまり死亡の意味伴った。『春秋左氏伝・文公七年』に、「今君終ると雖も、言は猶お耳に在るが如し。」。
「終」はまた開始から終結までの時間をも表す。『戦国策・魏策』に「地を先王に受け、終に之を守らんと愿(ねが)う。」
「終」は副詞であり、畢竟、最終を表す。『景岳全書・論治」に、「終に治虚の法に非ざるなり。」
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