漢字初の解釈:糸
「糸」は、象形文字である。甲骨文の「糸」 、 、 、、 字は数本の絹糸をより合わせた様子であり、多くの異なる書き方がある。
一つ目の書き方は絹糸の束を象り、一端に丸く折り曲げた箇所で、もう一端は一纏めになった糸の端で、二三回よじっている。
二つ目の書き方は糸を束ねた象形であり、糸束は二三回よじってあり、糸束の両端に結んだ記号が付いている。
金文 、 、、 は甲骨文の字形を継承している。
小篆 は周朝晩期の字形を継承し、下部の糸を束ねた記号は「巾」と改められている。隷書は「幺に従い小に従う」会意文字の「糸」に変化し、楷書はこれにより「糸」となった。
「糸」の本義は細い糸である。『管子・軽重丁』に、「君織を以って籍すに、糸に籍し、未だ糸を籍と為さざるに、糸織るを撫せば、再び其の賈を十倍とす」。意味は(管仲は言う)もし絹織物で高収入を引き出すには、始めに絹糸から着手し、絹糸が完成する前に収入増加を考えてから、絹織物を再考すれば、収入は十倍に達することができるである。
『説文解字』に、「糸は、細い絲(糸)なり。絲(糸)を束ねるの形を象る。」つまり蚕が吐き出す糸も絹製品を表す。『詩経・衞風・氓』に「抱布を絲に貿(かえ)る。」(意味は、麻布を絹織物と交易する。)『説文解字注』に、「(糸は)細絲なり。絲は、蚕の吐く所なり。細は、微(ほそ)きなり。細絲を糸と曰く。糸の蔑するを言うなり。蔑の無きを言うなり。絲束の形を象る。」。
「糸」は細い糸から発展して糸のような細長いものを指すようになった。例えば「鉄糸(鉄線)、粉絲(糸、はるさめ)、クモの糸、ハスの糸」などである。
「糸」は、絲の半分の量の助数詞でもある。宋代に『説文解字』を研究した学者徐鍇は、「一蚕の吐糸を『忽』とし、十忽を『絲』とする。『糸』は五忽なり。」と言っている。つまりこういう糸・絲は極めて細いことを言う。
「糸」は、例えば「糸、素、緊、索、紫、縈」などの、mi(べき)と読む部首でもある。
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