漢字初の解釈:羅
「羅」と言う漢字は、会意文字です。甲骨文の「羅」 、、、 は二つの異なる形が存在している。
一つ目の形は、上部が「網(ネット)」 の字形で、魚や鳥獣を捕るための網を表しています。その下に「隹(短い尾の鳥)」 、、 の字があり、一羽の鳥が網に捕まっている様子を示しています。
二つ目の形は、上中下の構造を持ち、下部に「両腕を広げた人」の字があり、中央に「網」、上部に「飛ぶ鳥」がある形です。これは人が両腕を広げて網を広げて鳥を捕る様子を表しています。
春秋時代の金文 、「網」の上部が「冈(おか)」の省略形で表され、魚や獣を捕る「網」と区別し、字の意味を明確にするために、「網」の下に「糸」 の意符が追加されています。これは「網」が絹糸で織られていることを示しており、「飛鳥」と並んでいます。戦国時代になると、「羅」の字形は変化し、上部の「網」 の象形が不明瞭になります。
小篆 、 は春秋時代の「羅」の形を継承しています。隷書 、、 も小篆の字形を受け継ぎ、楷書では「網」の上部が「罒」 (目のある罠)」に変化し、「羅」と書かれるようになりました。
「羅」の本義は、鳥を捕るために網を使うことです。また、「網」字体も指します。『説文解字』には、「羅、以絲罟鳥也。網に従い隹に従う」とあります。これは「羅」は絹糸で編まれた鳥の網を指すと説明されています。「羅眼」は「網眼」よりも小さく、使用される糸も細いです。
『韓非子・難三』には、「以天下為羅、則雀不失矣」とあり、天下を罠として使用するならば、雀が逃げることはないと述べられています。ここから「天羅地網」と言う成語が派生しました。
この場合の「羅」は絹で織られたもので、「眼」が小さく、微細な穴のある篩(ふるい)を指しました。
また、「羅」は穴が密集していることから、広く分布していることや並べられていることを指します。『史記・五帝本紀』には、「旁羅日月星辰」とあり、日月星辰が広く分布していると表現されています。
更に、「羅」は緯糸と経糸が疎で軽い絹織物を指すこともあります。詩人の張俞の詩に「遍身羅綺者,不是養蠶人」と言う一節があり、身を包むのは細かい織りの絹織物であり、蚕を飼う者ではないと表現されています。
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