漢字初の解釈: 辛
「辛」 、 、 、 、 、 、 は象形文字である。
甲骨文の「辛」 、 、 の書き方は多種であり、構成の解釈も様々である。あるいは、甲骨文の字形 ・ は平頭の鑿の工具や処刑刀の形を象り、上部が切り裂く事の出来る刃物 、 で、下部は長い柄 、 で両側に先端で指す事の出来るさすまたになっており、古代人は犯人や捕虜の顔面に文字を刺青したので、本義は処刑器具であると解釈する。
また、甲骨文の「辛」 字は、ニ又の木を二本縛って作った簡単な木枷であり、犯人や捕虜を押さえつける器具であると解釈している。この意味するから「辛」の本義は、枷と鎖の拘束器具と解釈される。またあるいは、「辛」は「薪」の本字であり、である木の枝あるいは柴木の形状を象るという解釈もある。
古代には、奴隷や犯罪者は帽子を被ることができず、木の枝葉や草(=辛)を頭上に巻き付けるしかなく、頭上に「辛」があるものは奴隷や犯罪者であった。あるいは、「辛」は人が逆さに掛けられた形であり、上部は両脚を横木に繋がれた形であり、犯罪を犯した奴隷や捕虜に対するある種の懲罰手段であるという解釈もある。
またあるいは、「辛」は、萼(がく)、花托(太くなる部分)、花葉、花茎(軸)の花柄を象ると解釈する。古代の「辛部族」は一大父系部族で、商朝には、祖辛、小辛、廩辛、帝辛という四名の「辛」という名の王がいた。ここに見える王名「辛」と処刑器具の刃物、木の枷、奴隷、罪人は何の関係がないと見られる。
甲骨文「新」 字の構成には、「辛」 と「斤」 があり、「新」 は斧で「梓」(梓:背の高い喬木で、樹形は傘形、花の付き方が円錐形で木の先にあり、「辛」は本来「梓の樹」を指すと見られる。金文 、 と小篆 は基本的に甲骨文の形を継承しており、隷書化してから楷書では と書いた。
「辛」の本義の解釈は多く、今なお公認された解釈はない。「辛」字には辛労、労苦、悲痛、苦痛、心酸、辛辣などの意味があり、全て以上の多くの解釈から拡大解釈されたものである。「辛」は古くから「干支」の名称として使用され、十干の八番目である。「辛」はまた、例えば「梓、新、辛、宰、辜、辨、辣、辞、莘、鋅」などの文字の偏旁でもある。
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