清・金農『古仏図』軸(煙台博物館蔵品)
清・金農『古仏図』軸:縦250.8、横70。
図中の紅衣の古仏は、双眼を僅かに閉じ、穏やかで安定し、厳かである。袈裟は地面に付き、右手を捧げものように、紅布の下に覆われ、片肘(かたひじ)をあらわせに拱手(組手の礼)でたたずみ、説法の様子である。「遊糸描」で地面に及ぶ上着を描き、線条の起伏はうねりながらも滑らかで、湧き上がる神妙な境地を深く得るのである。仏の右側には金農が自ら題して、その大意は、彼が嘗て抄録した『金剛経』が、千余冊印刷され、十八羅漢の伐那婆斯(バナバシ)尊者の版本に匹敵し、また色々な国々に流伝したこと、題下に朱篆の印章「冬心先生」を押す。左側には自ら「古仏頌」を題し、金農の仏教に対する敬虔(けいけん)の気持ちをあらわし、題後に「蘇伐羅吉蘇伐羅越日又書于揚州僧舎」と署し、款署の下に白文篆書之印章「金吉金」を押す。題記の書体は隷書であり楷書であり、漆刷毛を用いたいような姿(の字)で、金農の独創的な「漆書」を為している。その他左側の裱装に跋文があり、「庚申十月山陰何澎拝観于十笏山房」と言い、下に白文篆書の印章「何澍印「、朱文篆書「仲起」を押す。
国宝指定
金農[1687〜1763]中国、清代の画家・書家。浙江省の人。字は寿門。号、冬心、墨梅・墨竹・花果を得意とし、独特の書風で知られる。
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