仏像は、北斉の一つの重要な一里塚である
仏頭 北斉武平元年(570年) 河北省 北響堂山石窟 南窟 クリーブランド美術館蔵
北斉供養菩薩立像 北京保利芸術博物館蔵
菩薩坐像 北斉 河北省峰峰鉱区 北響堂山石窟北窟 フリーア美術館蔵
一仏ニ菩薩ニ弟子像 北斉 白石彩絵 クリーブランド美術館蔵
彩絵貼金釈迦坐像 北斉 太原華塔村出土 山西省博物館蔵
貼金石仏頭像 北斉 青州市博物館蔵
迦葉尊者立像 北斉天保元年(550) 河北省響堂山石窟クリーブランド美術館蔵
中国の彫刻芸術は南北時期に最初のピークを迎えた。この時期には人間性が覚醒し、個性が現れ、よしんば仏陀世界でも、飄々として落ち着き、表情も泰然として動じないものであった。
北朝は、西暦386年に北魏が成立して、東魏、西魏、北斉、北周と継続分裂し、581年に北周が隋に取って代わられたが、二百年近くの時間を持続した。この時期、彫塑芸術は模倣から全面的に現地化した過程に変化した。西魏と北周に属する仏像は多くなく、除去しても、北魏、東魏、北斉三代については、北斉の造像が最も人に喜ばれている。統治地域から言えば、北斉は東魏の支配地域を継承して、黄河下流地域の河北、山東、山西及び蘇北、皖北の広範な地域を占有している。同時に、西魏、南梁、南陳などの王朝も並存していた。
釈迦仏頭像 北斉 太原華塔村出土 山西省博物館蔵
白石菩薩立像 北斉 2012年習文郷北呉荘村出土 鄴城博物館展出
北斉の文宣帝高洋は殺戮を好む性格であったが、意外なことに「甚だ仏教を好み」石窟造像の造営に血迷った。響堂山、天龍山などの石窟のほかにも、後世には仏像を備えた石窟が多く発見されている。
菩薩頭像 北斉-隋鄴城遺址北呉荘仏教埋蔵興出土 河北省博物館蔵
彩絵貼金石彫菩薩立像 北斉 青州博物館蔵
絵画の風格には「曹衣出水、呉帯当風(曹呉二体)」との言い方がある。
「曹衣出水」は北斉の曹中達の始めた人物の衣服のひだの画法で、「曹法」の衣服の襞の模様は細線を束ねて、身に着けた薄絹が、まるで水から出たような感じに似ていて、名を得た。
絵画の技法は彫塑にも影響を及ぼしたので、北斉造像の衣裳の襞も紋様は簡素で、浅薄流暢なものが特徴で、まるで水中から掬い上げ(すくいあげる)たように、身体の結構に沿って起伏している。
青石立像 北斉 2012年習文郷北呉荘村出土
北斉の造像の特徴に関してある評価を引用すると、「北斉の多くの造像は面相が豊かで、衣裳紋様は簡素、服装は体に貼付き、全体的に潤滑できれいであり、顔面の静逸温和な表情と調和一致している。」
「艶やかな姿態か平滑な衣裳から、筋肉の軽やかな起伏の変化を感じ取ることができるようで、潤沢の体表の緩やかに垂れる線条は、形象を簡素平坦な中にも内在する気質を露出させている。」
「大きな動態はないものの、逆に内在する活力を察することができ、自然に在って写実的な手法の中で、人物の形象に更に実感を具見させている。この種の素潔で潤淳な風格は北斉の彫刻芸術に独特の形を備え、明確に人を感動させている。」
北斉石造像 北斉(550-570)
鏤彫弥勒尊像 北斉 臨漳鄴城遺址出土 河北省博物館蔵
双思惟菩薩像 北斉 曲陽修徳寺出土 河北省博物館蔵
一仏ニ弟子ニ菩薩残像(飛天局部) 北斉 南宮后底閣 河北省博物館蔵
約言すれば、造像の風格は北斉になって明確な変化が発生したが、北斉造像的の典型的な風格は、洗練、流暢、簡潔、迫真である。
梁思成も、北魏の仏像は顔が小さく下半身が大きいが、北斉は顔が大きく下半身が小さいと結論付けている。
彩絵貼金石彫仏立像 北斉 青州市博物館蔵
北斉時期には、仏教の発展は一時に盛り上がり、国都の鄴城にはもう大型の仏寺が4,000ヶ所余りあり、僧尼は8万人であった。
関係資料により考証すると、鄴城で出土した大量の精美な仏教の造像は、工芸が精美であった。
釈迦牟尼仏説法像 北斉 臨漳鄴城遺址出土 河北省博物館蔵
石造三尊仏坐像 北斉(550-570)
145.0✖️86.5✖️79.7㎝
石造三尊坐像(背面)
この時期の造像は、対の菩提樹に、宝塔、蟠龍、飛天、双獅子畔、博山爐などの要素の組み合わせの、背屏様式の造像が広く流行した。
曲陽造像の模式となりがちだ極めて地方特色を備えた。
脇侍菩薩立像 北斉 曲陽修徳寺出土 河北省博物館蔵
例えば図中の菩薩は、身体が細長で、上半身を肌脱ぎ、二重の首飾りをつけ、肩には布を纏い、瓔珞を肩から下に掛け、腹部で交差してから下に垂らし、下には長い裳裾を着け、人々の腰は蓮の葉のあたりに出て、リボン状態の模様には蓮華、火炎宝珠、浄瓶などの図案が浮彫される。
全体の造型は謹厳端正であり精緻で美しい。
思惟菩薩残像 北斉 曲陽修徳寺出土 河北省博物館蔵
華厳洞 北壁 南響堂山石窟
別の例として、上の写真のアーチ型の門楣(リンテル)に彫られた浅浮き彫りの塔(パゴダ)スタイルの装飾様式があり、塔の下には卷雲と山の花があり、上の千仏洞の上にある大規模な彫刻に似ています。
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