漢字初の解釈:貯
貯は会意文字である。
甲骨文の「貯」 、 、 、 字には多くの書き方があり、その基本の構造は、上下に短い縦の符号の有る「口」に似た文字(宁)と「貝」との構成である。この上下に短い縦記号の有る「宁」は長持、箱、盒子の種類の家具と見るべきであり、「貝」は古代の貨幣、宝物である。二つを合わせて貨幣、宝物などを箱に貯蔵することを表し、また蓄積の総額を表している。
また、古代の先住民の調度品は簡素であると考えられ、この上下に短い縦記号の有る「宁」は、室内の穴蔵(ぐら)であり、先住民は貨幣や、貴重品を穴蔵の中にしまって保管したが、これが絶対多数の先住民の生活の真実の反映である甲骨文やその他幾つかの書き方は、「貝」が下になっている上下の構造になっている。殷商時代の「貯」字は甲骨文の最初の形体を継承している。
金文の「貯」は 、 、 周代中後期の「貯」字も上下構造であり下部の図象文字「貝」は、文字記号としての「貝」に変化している。戦国時代の「貯」字は、「貝」が「目」に変化している。
篆書の「貯」は 、 を書いている。小篆では「貝」を左に置いた左右の構造に書いている。隷書の「貯」 では「貝に従い、宁(チョ)音。」。楷書は隷書から「貯」と書いている。また「宁」 、 、 、 は「貯」の古文であると考えられている。
「貯」の本義は貯存、累積である。『説文解字』に、「貯、積むなり。」賈誼の『積貯疏』に、「夫れ積貯とは、天下の大命なり。」食料と財務を貯蔵することが世の中で最も重要な事情であると言う意味である。
「貯」も保存、据置きを指す。王安石の『三月十日韓子華招飲帰城』に「雀眼涂金銀蔑籠、貯在当筵呼舞娃(金銀を塗った一文銭が籠に入れらて、娘を呼ぶために筵に据えられている)」。
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