漢字の初解釈:莫(日落草中)
漢字「旦」は、山からだんだん上る赤い陽である。
漢字の「莫」は現在の字形からはその意味が分かりずらい。歴史をたどると正真正銘の落日の景色である。
下に在るのは甲骨文の「莫」 、 字である。「艸」 、 は草を表し、「艸」 、 は樹林である。中間の「日」 、 或いは「口」 は太陽を象徴している。この字の意味は、太陽が草叢に沈み樹林に隠れること。空が暗くなり、野外で一日疲れた人々は家に戻り休息する。
「莫」 字は金文にもあり、その構造は甲骨文と同じであり、また太陽が草原に落ちる姿である。
その後秦の始皇帝が文字を統一すると、この字の基準は篆書の「莫」 となり、落日の意味もはっきりした。隷書 になると下面の「艸」 は「大」 に変化して、終に今日見る「莫」字になった。
時間の経過と、字形の変化に従い、「莫」は終に落日とは関係なくなり、「勿」と変わりない意味になった。日暮れ、黄昏、落日などの意味は、「莫」字の下に「日」を加えた「暮」字を使って表した。一説に「莫」字は「暮」の仮借文字であるというが、それは本末転倒で、正確には「莫」は「暮」の先祖であるというべきである。
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