漢字初の解釈:耳・聖・取
『説文解字』に、耳は、而止(ジシ)の切(セツ、音ジ)。聴くを主(つかさど)るなり。象形。凡そ耳の属は皆な耳に従う。
古文の字は 、 、 、 、 、 、 と書き、初期の字形は正しく耳の形象を真似して描くが、左右の区別はない。基本的な意味は「耳」であり、主な機能は音声を聞き分けて「聞く」ことである。
耳朵 耳 象形
「耳」は人や哺乳動物の平衡器官でもあるが、当時の認知水準では「平衡器官」が何物であるのかを知らなかったので、「聴くを主るなり」の言い方しかなかった。例えば明代・劉基『苦斎記』に、忠言は耳に逆らえども行いに利あり(良薬口に苦しの出典)。また「耳」に似た例えば木耳(キクラゲ)、銀耳(シロキクラゲ)に物品のに意味が発展している。
人の顔の「五官(五感覚)」のうち、聴覚器官の「耳」と視覚器官の「目」は、外界の情報を多く受ける二大器官であり、このため人々は「耳目」は重要性を示している。例えば耳濡目染(悪影響を受ける)、耳聞目睹(見聞する)などのフレーズがある。
人の両耳のように頭部の両側にある物体、例えば、青銅の鼎、壺の上部の両側に木やロープを通して持ち上げる耳輪のようなものに意味が発展している。
商周青銅器 多字体銘文 聖
「耳」で構成される漢字の多くは基本的な意味と主要な功能は相関している。例えば、「聖」 、 、 、 、 は「口」と「人」を加えている。これは会意文字であり、「耳」で他人の教え(口・人)を真剣に聞、また聴き学んだ知識をまた話す事〜つまり、はっきり聴き明白に話すことの出来ることを表す。また、「通達」する、「洞察」するの意味に発展している。
「手」を表す「又」を付け加えた「取」 、 、 、、 、、 、 の構成の意味は手に切り取った耳を持つことである。古代の狩猟では、大型の得物の「左耳」を取り捕獲の証拠とし、その後部落間戦争でも敵人の左耳を切り取り勲功の証拠とした。敵の「耳」を「絲(糸)線」に連ねて「聯」 、 とした。
商周青銅器 多字体銘文 取
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