漢字初の解釈: 虐
「虐」は会意文字である。
甲骨文の「虐」字は「虍に従い人に従う」形で、左右の構造の形である。右側は凶暴な「虎」の形で、左は直立した「人」の形である。二つの形を合わせると虎が人に飛びかかって食べる形を象る。
金文の「虐」字の虎の尾身は簡略化し、人の形の変化しており、虎の頭と口を突出して、象形的な趣きは減少して、明らかに表意的となっている。
小篆の「虐」字は、虎の頭の下部に手で「抓(つかむ)」人の形をあらわにして、人間が「虐げ(しいたげる)られる」の意味を表している。
隷書の「虐」字は、虎の頭の下に天を「仰向く」人の形のようであり、楷書は書物に「虍に従い逆さの爪」に従う会意文字の「虐」を書いている。
「虐」の本義は虎が人を傷めること。『説文解字』に、「虐は残(そこな)うり。虍に従い虎足の反にして、人を爪(とら)えるなり。」甲骨文の卜辞では疾病の意味に使用されている。
「虐」の大口と鋭い爪が人類を傷付けるので、残虐、凶暴を指すように発展した。『国語・周語』の、厲王虐(むご)く、国人王を謗(そし)る。」。
「虐」は鋭い爪で傷付ける意味から、虐待、残害を及ぼす意味に発展した。『左伝・文公十五年』:「君子之不虐幼賤、畏于天命也。」。
「虐」は鋭い爪で人を傷付ける意味から、被害や損害を及ぼす意味に発展した。『左伝・襄公十三年』に、「是は上下を以って礼無く、乱虐並びに生ず。」。
「虐」は虎が簡単に捉まえたり咬んだすることから、人を軽視したり無視する意味に発展した。唐の柳宗元『友人に与える論を文書と為す』に、「而して又た栄枯して今を虐げる者は、肩を比べ迹を畳み、大低生くれば則ち遇わず、死して声を垂る者は衆なり。」。
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