漢字初の解釈:兔
「兔」は象形文字である。
甲骨文の「兔」 、 、 、 の字は、頭と体、足と尾の動物であり、字形は大きい耳と短く上向きの尻尾の特徴を際立たせ、横から見たよく走り跳ねる兔の様子をうまく表している。
商代の金文の「兔」 、 字は、まるでモノクロのウサギ写真のように一羽のウサギをそのまま描いている。周代後期の金文「兔」 字は変形して、ウサギの姿は不十分となったが、小さい尻尾はそのまま残っている。
小篆の「兔」 、 、 字は線条化して、字形的にはウサギの姿は見られなくなったが、文字の変化の過程は依然はっきり見ることができる。隷書 、 は小篆の字形を継承して、楷書はこれにより「兎」と書いている。
漢字の中で「兔(日本では兎の俗字)」と「免」の字形は大変似ていて、両者の違いは右に「点」があるのが「兔」、ないのが「免」である。この点は元々「兔」の可愛い尻尾であった。これは古代人が「兔」字を作った時に「兔」の短い上向きの尻尾の特徴を捉えた名残である。
「兔」の本義は動物のウサギである。
「ウサギ」は行動が敏捷であり、中国語のと語彙の中でも「兎」字は敏捷(びんしょう)な行動を表している。例えば「動くこと脱兔の如し、兔起(た)ち鳧(かも)挙がる」。
玉兎(ぎょくと)は、夜空の月の代名詞であり、古代の電設に玉兎は月の精霊であった。
熟語の「鳥飛び兔走る」は神話伝説中のお日様とお月様の栄華盛衰である。
ウサギは弱い動物で、人や、イヌ、キツネ、オオカミ、タカなどの敵に遭遇すると、命からがら逃げるしかない。熟語の「兔死狗烹(トシクホウ)」は『史記・越王勾踐世家』に、「狡兎死して、走狗烹(に)る。」意味は兔が死んだら、猟犬も煮て食べられること。これは事業が終わった後に、貢献した人を放棄したり殺害することの例えである。
伏兎(フクト)は、古代の車のボディと車軸を連結する備品で、形が蹲っ(うずくまる)た兔のようなので伏兔と言い、また輿(荷台)と共に兔とも略された。
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