八大山人「柏鹿図』
煙台市文物商店所蔵の『柏鹿図』は、八大山人の代表作の一つであるが、『柏鹿図』は2008年12月北京匡時オークションで名を現し、1881万元(人民元)で落札された。
八大山人、姓は朱、名は耷、彼は明代皇族の末裔、大明王朝を偲ん(しのぶ)で、満州族の清朝統治を敵視して出家、僧となる。その絵画芸術の造形はとても深く、常に単純な筆墨(ひつぼく)で深刻な不平な情緒を表現した。
この『柏鹿図』は、高さ209cm、幅75cm、紙本墨色(すみいろ)。図には老柏が一株描かれ、樹冠は高く、下部は細く根がなく、上部は粗大(そだい)で直立せず、松柏の枝の多くは枯れ、葉も疎ら(まばら)である。
樹下に描かれた鹿は、身を捩り(よじり)、耳をぴんと立て、両目もまなこを真丸に見開いている。
柏鹿の背景の奇岩は、上部が大きく、下部は細く片側に傾斜している。地面には少々の簡単な草があり、左上方にある落款は「八大山人写」である。落款下に押してある朱篆印二方は、一方は白文で「八大山人」、一方は朱文で「各園」である。
画面全体の作りは近景で、遠景は余白にとどめ、構成は典雅(てんが)で当を得ていて、まるでレンズを通して写したようである。用筆(ようひつ)は老練して力があり、伸び伸びとして動きがある。鹿から樹石、落款まで包括して、一気呵成(いっきかせい)に(描かれ)、切迫(はくりょく)が豪放である。
全体の墨色(ぼくしょく)は淡雅で、鹿の瞳と鼻は濃墨が添えられてられいるのは、大変非凡で、芸術的な骨力がとても強い。
この図の寓意(ぐうい)は深刻で、八大山人が清朝と朝廷官人対する見方を表現している。画中の柏と岩は清朝の山水を表現して、樹高はあっても根元がなく、とても不安定で、崩壊寸前の感がある。枯れて疎らの柏の枝葉では、樹下の鹿は風雨を避けることができない。鹿と「禄」は同音なので、絵画作品では鹿を持って「禄」に代わって表し、禄は封建社会の官吏の俸給であり、封建社会の官吏(という意味)を派生している。従ってこの鹿は満人清朝の統治下での漢人官吏を表現している。彼らは自信を委曲(いきょく)屈折(くっせつ)して、極めて慎重に朝廷に伺候(しこう)しているのである。画中の鹿のように、両耳を前に向け、両目を丸くして、それに恐怖に身を慎しみ(つつしみ)王朝の意向に耳を傾けているのである。この『柏鹿図』の保存はとても良好で、八大山人の諸作品の中でも稀に見る巨幅の選り抜きの品で、見る者に魅惑(みわく)と衝撃を得ないものはない。
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